君を守るよ、疾風のごとく!

このブログでは「ハヤテのごとく!」の主人公、綾崎ハヤテを全力で応援してます。 ハヤテFCも運営中。

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へっぽこ小説道場(裏) 「Restart」

ナギちゃん誕生日おめでとうー!!

から1日過ぎてますが…!

FC会員の KTAさん からSS作品を寄贈して頂いたので、ここで公開させて頂きます。

ハヤテFC4年間続けてきていますが、SS公開はなんと当ブログ初!!
なので楽しみにしてて下さい!

ただし、注意事項として、

ハヤテのごとく!第431話「HANABI」 を読んでいる方推奨
※2013.12.03 時点での最新話

のSS作品となっておりますのでご了承ください。

つまり、KTAさんは1週間足らずでこの作品を作り上げたと…本当にすごいです……

感想はKTAさんのtwitterアカウントに直接、もしくは記事へのコメントでお願いします。
この記事にコメントして頂いたものは、ご本人にお伝えします。

素敵な作品となっていますので、どうか本誌を読んでいない方は、
そちらを読んだらぜひまた、足をお運び下さい。

それでは、ご了承して頂ける方のみ追記からどうぞ。



「Restart」


 深夜の高速道路、照明は無く、周りも真っ暗。どこかの地方だろう、たぶん東北自動車道あたり。その道を、二台の車が猛スピードで走っている。一台は赤いスポーツカー、もう一台は黒塗りの高級車だ。ヘッドライトのおかげで路面の白線だけが見える、それ以外はよく見えない。それと不思議な事に、その道には二台以外の車が全く走っていない。反対車線にも対向車の明かりが見えない。しかし赤いスポーツカーの運転手――綾崎ハヤテは、そんな幾つかの不可解な事象を気にする余裕はなかった。

「金返せ!」
「観念しろや!」
「殺すぞ!」

黒塗りの高級車側からそんな様な怒声が聞こえる。

「なんで……なんで!全額返したはずなのに!」

そう叫んだ瞬間、ハヤテの頭部左側を2本の光が通っていった。それは明らかに殺意のある、曳光弾だ。

「もっと速く……もっと速く逃げないと!」

死の恐怖と焦り。スポーツカーなのに、高級車を少しでも引き離すことができない。

「死ねぇ!」

そう聞こえた直後、目の前のフロントガラスが割れて白くなった。スポーツカーは安定を一気に失いスリップし、高速道路脇の壁面で大きな衝撃音を立てた。
 ハヤテは一瞬だけ意識を失ったような気がしたが、気づいてみれば身体はどこも怪我をしていない。スポーツカーはメチャメチャなのに……。
 いつの間にかスポーツカーの傍に、何故か黒須が居る。少しだけの笑顔が気味悪い。そして開口。

「君が運転して壊してくれたおかげで、保険金がたっぷり下りるよ。ざっと1億5千万だ」
「1億……5千万……」
「そう、君が必要な金額だよね」
「そ、その1億5千万を!僕に譲ってくれませんか!?」

――カッコ悪い。

「よし、君にあげよう」

黒須の言葉によって、カッコ悪い願いはあっさり叶った。しかしその直後、ヤクザが割り込んできた。

「しかし680万4000円足りんなあ」

喜びは一瞬で終わり、絶望感が襲う。ハヤテはヤクザによって、ロープで後ろ手に縛られた。

「残りは身体で払ってもらうからな」

 どこかビルのような所の屋上に居る。夜だからか、周りは暗い。ただ高速道路で感じた時よりは暗くない。ロープは柵に結ばれて身動きができないでいた。

――ホントにカッコ悪い。楽になるのなら、いっそ死んでしまいたい。

「ハヤテ!そんな事を考えてはいけませんわ!」

突然に聞き覚えのある女の子の声がした。目の前に、ハヤテの初恋の相手、天王洲アテネが居る。

「アーたん……なんでここに?」
「ハヤテを元気付けるからに決まっていますわ。あなた、甲斐性はないけど私を愛するチカラは世界一だから……」
「アーたん……」
「でもって!ハヤテ君を愛する気持ちNo.1な私も居るよ!」

再会してちょっと嬉しいと思った矢先、聞き慣れた別の女の子の声がした。天王洲アテネの右隣に元クラスメイトの西沢歩が現れた。

「に、西沢さん!?」
「返事はまだ言わなくていいよ、ハヤテ君が答えられるようになったらいっぱい聞くね!」
「はい……」

ヤクザに拘束されたと思ったのに、今は何故かアテネと歩が居る。すると、あれこれ考察する余裕もなくさらに聞き慣れた別の女の子の声がした。

「ハヤテ君!私と結婚して!」
「ル、ルカさん!?」

天王洲アテネと西沢歩の間に割って入ってきたのは、スーパーアイドルの水蓮寺ルカだ。

「一生後悔しないためには、結婚して私のオッパイを見なさい!」

ルカが飛び切りの元気と笑顔でそう言う。

「な、何言ってるんですか!冗談はよしてください!」

何故か恥ずかしさを感じるハヤテ。

「冗談じゃない、私は本気よ!」

ルカの言葉に押されてしまうハヤテ。

「見て、ハヤテ君」

いつの間にか服を脱いでいたルカは、ハヤテの眼下で胸の谷間を見せつける。

「ハヤテぇ、私のオッパイも見てぇ」
「ハヤテ君、私のミコノス以来のオッパイだよ」

ルカに対抗するかの様に、アテネと歩もハヤテにオッパイを見せつける。

「皆さん、そんなに近づかないでください……」

残念ながら説得力がない。

「んーん、ハヤテ君がなんと言おうと、私のオッパイはハヤテ君のもの……」

眩しいくらいの笑顔でそう言い、ルカは、とうとうハヤテの身体にオッパイを宛がった。

「ルカさんの次は私ね」
「ああズルい!私が次なんじゃないかな?」

2人の女の子のオッパイを目の前にしながら、アイドルの女の子にオッパイを擦り付けられているという異常現象。ハヤテはいつの間にか仰向けになっていて、抵抗する気力を失い、次第に快楽を味わうようになった。

「気持ちいいでしょ?」

ルカが問いかける。

「ええ、とても……」

答えるのにやっとなハヤテ。

「ハヤテ君はもっともっと気持ち良くなるよ」

ルカのアタックがヒートアップしてくる。

「ルカさん、これ以上こすられちゃうと……もう……」

ハヤテの中で例え難い快感が走った。





 薄暗い部屋の中で、ハヤテは天井を見た。いつもの部屋に居る。今までの出来事がまるで嘘のように静かだ。もちろん、ハヤテはパジャマ姿でベッドの中。

「夢かぁ……ん」

 次に、ハヤテは下着の中で違和感を覚えた。

「もしかして……」

ちょっと開いて、手を入れて、触って確認をする。そして呟く。

「やっぱり……」

時刻は午前3時55分だった。





 主、三千院ナギの執事である綾崎ハヤテは、いつも午前4時に起きて自身の身支度、朝食の仕込み、清掃などをする。それらの作業の途中でハウスメイドのマリアが起床して合流すると、三千院ナギの生活が最高のコンディションとなる。

 え、「クラウスさんは?」って。クラウスは、ムラサキノヤカタで今も住む女の子たちのために執事として業務を遂行しているのだ。同人誌対決の決着がついた後になんだかんだでお屋敷に戻った三千院家一行が居たが、アリスちゃんやら千桜の家やら、それにカユラも白皇学院に通うわけだからムラサキノヤカタ以外に住むところは無いし、歩は「ハヤテ君のにおいを少しでも多く感じていたい」とひそかに数人に漏らしている。賃貸契約の項目の一つに「執事付き」としてしまったのだから、ハヤテとクラウスが交代で三千院家お屋敷とムラサキノヤカタを行き来しているのだ。

 ハヤテである。ハヤテは昨夜に変な、ぶっ飛んだ夢を見て飛ばしてしまったことに落ち込み気味だ。調理の手が止まっている。ハヤテは色々考えてしまう。まあ16歳だし、しょうがないお年頃なのだから。

 (もう何日か経ってて、ほぼ元のお屋敷生活に戻ってるんだし、いい加減吹っ切れたかと思ったんだけどなー……あーあ、やっぱりこれからも一生後悔しちゃうのかなー……ていうか、色んな物を見ちゃったなー……借金取りに、黒須さんとランボルギーニ……僕、車の運転できるのかなー……まあ教習所に通う時間もお金もないですよねー…………それと久しぶりにアーたんの夢を……アーたんと、西沢さんと……ル、カ…………もーオッパイオッパイって東方じゃないんだからそんなに連呼されても!……はぁー、全然意識してなかったけど、僕は男で、周りはほとんど女の子じゃないか……)

「ハヤテ君、かき混ぜないと焦げますわよ」
「ふぁい!!?」

ハヤテの背後からマリアの声がした。普通の声掛けだったがハヤテにとっては突然で、右手に持っていたおたまで鍋の中側面へぶつけてしまい、中身がハヤテの手に少々かかってしまった。

「熱っ」
「まあ!」

様子をしっかり見ていたマリアは少々の呆れ顔を見せながらハヤテに近づいた。

「おたまを置いて、手を貸しなさい」
「ええ?」

言われるままに従い、右手を引っ張られるハヤテ。マリアはシンクまで連れて、つかんでいたハヤテの右手を離すと水道を勢いよく開けた。

「いや、そこまでたいした事じゃないですよー」

ちょっとした抵抗を見せるハヤテではあったが、マリアは、

「ダメです、念のために、しっかり冷やしておきなさい」

と言いながら表情を変えずに再び右手を引っ張るのだから、ハヤテのちょっとした抵抗心はすぐに消えた。
 水が冷たい。マリアの右手によってハヤテの右腕が支えられている。……あれ、マリアはハヤテの背中に居て、マリアの左手はハヤテが逃げないようにガッチリと左腕をつかんでいる。何この密着具合。
 ハヤテの背中が温かい。二つの柔らかいマウンテンが当たっている。

「マリアさん……すみませんが、オッパイをそんなに当ててもらうとその……」
「ぇええ!!?」

大人な雰囲気マリアでも、ハヤテより1歳年上なだけ、そこは動揺してしまったようだ。

「ハヤテ君の口からオッパイだなんて!朝からエッチなのはいけないと思いますわ!!」
「ごめんなさい!じゃあ夜なら!……!!」

二人とも顔が真っ赤っか。そしてマリアが噴火。

「料理はもういいからナギを起こしなさーい!!!」

厨房から慌てて飛び出すハヤテであった。





 8時頃、主を起こす執事。同人誌対決でとても良い充実感を得たのだから、それキッカケで生活態度も変わっているはず、改まってほしい、お願い起きて。

「うーん、もうちょっとー……」

朝一のマリアの話によると、ナギは「やっぱり最高のグラフィックスゲームには4K大画面モニターでやるのが一番だ」と言い深夜0時半頃までゲームをやっていたそうだ。

「お嬢様、もうすぐ朝食の準備ができますよ。だから起きましょう?」

ナギを優しく揺するハヤテ。

「私は食いしん坊じゃないんだから……朝食なんかにつられるかー……」

目を開けようとしないナギ。仕方がないので、ハヤテは呆れ口調で言う。

「先日、お嬢様はとても大変な思いをしながら勝利を勝ち取ったのに、もしルカさんが今のお嬢様を見たらきっと呆れると思いますよ。やっぱりこんな子だったんだ、今なら勝てるわって……」

ナギの目が開いた。そしてムスッとした表情でむくりと上体を起こしながら、少々語気を強くして言う。

「やっぱりってなんだよ、起きればいいんだろ。それに私はいつだってルカに勝てる!」

そしてベッドがら出た。

「すぐ着替えるから」
「はい、廊下で待ってますね」

ハヤテは安堵の表情で廊下へ出た。





 ナギの部屋の扉が開いた。

「ハヤテ、着替えたぞ」
「では、お部屋へ」

いつも通り、ナギは化粧台の椅子に座る。ほぼいつもの通り、ハヤテは櫛を手に取りナギの髪を梳く。

「マリアとはちょっと違った優しさがあるよな……ハヤテも、いつもありがとな……」

ナギが珍しくお礼を言う。ハヤテが少しだけ意外そうな顔をした。が、すぐに笑顔になって答える。

「どういたしまして」

髪を梳かし終えて、ナギのいつものヘアスタイル、ツインテールに仕上げたハヤテ。支度を終えた二人はマリアの待つダイニングへ向かった。





 ハヤテとナギがダイニングに着いた時、マリアはちょうど料理をテーブルに並べていた。ナギとマリアは目が合うと、

「おはよう、ナギ」
「おはよう、マリア」

そう言葉を交わす。





 椅子に座って食事をするナギとマリア、ハヤテは給仕をしている。しかしコース料理ではないのだから、なにかトラブルが起きない限りはそうそう動かない。だから何もしていない今、まさにこの時、ハヤテの脳裏には昨夜の夢が現れている。

(借金取りに追われて車で逃げる、事故る、黒須さん、返済額が足りない、身体で払う、アーたん、西沢さん、ルカさん……)

次第に、8月13日夜の出来事が蘇ってくる。

“二人きりでアイスを食べるっていうのはやっぱ、いいものね”
“何勝手に見ようとしてんのよ!!これ見られるくらいならオッパイ見られた方がマシよ!!見たいのオッパイ!!”
“どうしてもって言うなら… 見せてあげても…”
“何よ!!からかったらなんだっていうのよ!!”
“全部捨てちゃえばいいのよ。全部… 全部…”
“あこがれたキラキラした何かだって、手に入れてしまえばチープなガラクタかもしれないんだから…”
“そうよ、全部捨てて… 全部捨てて!!私と――”

(……なんて言おうとしたんだろう)

“私がナギに勝ってたら、こーんなステキなアイドルちゃんとあなた結婚出来たのよ?”
“はは… それは…”

(……そういえば、なんで“結婚”だったんだろう)

“ハヤテ君は… どっちに勝ってほしい?”
“へ? 勝つって… 同人誌対決ですか?”
“そーよ”
“そうですね~ う~ん どっちに… すみません… 正直そこまで考えてなかったです”
“じゃあお願い。この勝負に私が勝ったら――私と、結婚して!!!”
“「10代のアイドルと結婚」、つまり「人生勝ち組」って意味よ!!”
“ふざけないでください!!”
“ふざけてなんかないわよ!!”
“ふざけてなんか…… ないわよ…!!”

(……わかんないや)

“ハヤテ君はホント運がないわね。だって私がナギに勝ってたら、こーんなステキなアイドルちゃんとあなた結婚出来たのよ?”
“ホント… 運が悪いわね”

(……まあ不幸なのは……元々ですから)

“私と結婚できなかったこと 一生後悔しやがれ♡ ”

そして、大きく輝く花火がハヤテの脳裏にフラッシュバックされる。





「おいハヤテ!」
「は、はい!」

ナギに突然呼ばれたことで驚くハヤテ。

「どうしたんだ、ボーっとして」
「え? ボーっとなんかしてませんよ?」
「ウソだぁ、最初の呼びかけに全く反応しなかったぞ?」

ハヤテに焦りの表情が出る。だが、テーブル上を見たハヤテはとっさに状況を把握して、立場を立て直そうとする。

「お嬢様、お水のおかわりですね!ただいま――」
「違う」

一瞬、空気が止まった。

「私はリンゴが食べたいと言ったんだぞ。やっぱり聞いてなかったのではないか!」
「……すみませんでした、今ご用意いたします」

しょんぼりハヤテ、トボトボと厨房へ行くのであった。

「ハヤテはどうしたのだ?」

ナギが小声でマリアに問う。

「わからないですわ。でも今朝、調理中にもボーっとしてて……あと何故か“オッパイ”って言葉に過敏に反応してたので、もしかしていかがわしい夢でも見たんじゃないですか?」

マリアが小声でナギに答える。

「ほう、そうか。ハヤテも年頃の男の子だからなあ。よし、私以外の女に目移りしないよう調教せねばな!」
「ナ、ナギ…… 調教って……」

ある意味愉快な食卓であった。





 食後の4K大画面モニターの部屋でナギとハヤテがワイドショーを見ている。

「次は芸能コーナーです!」
「ハイお待たせしました!ビビット芸能News、最初の話題はスーパーアイドル水蓮寺ルカちゃん、アルバム発売会見の模様からどうぞ!」

ハヤテは手に持っていたリモコンでチャンネルを変えてしまう。

「おいハヤテ?」
「あっごめんなさい、手が滑っちゃいました」

苦笑いで返したハヤテ。チャンネルを戻すふりをして、別のチャンネルに変えた。

「モンスターを狩る!!狩る狩る狩る狩る狩る狩る狩」

別のチャンネルに変えたハヤテ。

「山崎駅を通過する、特急はるか」

テレビの電源を消したハヤテ。するとナギがジト目で聞く。

「ハヤテ、あの夜ルカと何かあっただろ?」

図星過ぎた。

「はは… 何もないですよ!」
「ウソだぁ。食事の時はいかがわしい事でも考えてたのかと思ったが、やはり背景にはルカが居るのだろ?」
「い、いませんよぉ。それにいかがわしい夢とか見てませんって」
「ほう。ルカのいかがわしい夢を見たのか」

十分すぎるくらいの墓穴を掘っていたハヤテ、赤面しながら問う。

「な、なんで“いかがわしい”なんですか?」
「オッパイ」

ドキッとするハヤテ、赤面しながら硬直してしまう。そんな様子を見たナギは、ハヤテの正直すぎる反応に戸惑いのような焦りのような感覚を覚える。

「こ、これは重傷だなぁハヤテ。今後他の女に目移りしないよう、ハヤテをきっちり調教しないとなぁ……」

具体的なプランもないのに口走った。そして赤面する。

「ちょ……調教って……」

こんな状況に対する打開策も無いハヤテは、ナギの次の言葉を待ち、それに従うしかなかった。

「ハヤテェ!そこに仰向けになって寝ろぉ!!」
「はいお嬢様!!」

とりあえず上に乗ってやろうというナギのプラン、それ以降は未定。ハヤテは指示通りに、慌てて仰向けに寝た。その時にリモコンのボタンがどこかに当たり、モニターの電源が入ってしまった。

「PURE PLEASURE, ハーゲンダッツ」

たまたまのコマーシャルだった。ナギはこの焦った気持ちをどうにかしたくて、ハーゲンダッツに気を散らした。

「おうハヤテ!今からハーゲンダッツが食べたい!今すぐ買ってこい!バニラだ!」

何とも可愛らしい番長である。

「はいかしこまりましたぁ!」

変な状況から解放されたハヤテは、そそくさと部屋を出た。





 ハヤテの右手にハーゲンダッツが入ったコンビニ袋。ハヤテはつい先日の夜にも似たようなことをしたが、その事は思い出そうとせず小走りでお屋敷に戻る。すると玄関に入る直前、ハヤテの右側から図体のデカいホワイトタイガーが突進してきた。

「ぐへぇ!!」

ハーゲンダッツ入りコンビニ袋を持ったまま、華麗に吹っ飛ばされたハヤテ。そして、横向きに倒れたハヤテに覆い被せるような形でまたがるホワイトタイガー。普通なら、この後ハヤテは食われて命を落とします。

「おいテメェ、随分としょげているじゃねぇか。今からラフターでも手配して、テメェを空高く吊ってもらい気分爽快にしてやろうかぁ?」

四足歩行のホワイトタイガーが流暢に日本語をしゃべり、人間的な配慮をしています。ただし、ラフタークレーンで吊られるなんて事はお笑い芸人以外しないでしょうが。ハヤテはというと、徐々に怒りが込み上げてきて、

「空高くなるのはタマの方だ!!」

と言い、ホワイトタイガーにアッパーをお見舞いするのであった。





 玄関前のステップにちょこんと座るハヤテとタマ。

「テメェ玄関出る時もそうだったが、今日は元気がねぇなぁ」

トラに気遣われる少年。227日の漂流?

「大丈夫ですよ、今日も普通に仕事をこなしています」

トラに日本語で言葉を返す少年。もしや遊園地の控室か?

「ホントかぁ?……お嬢様がせっかくお屋敷に戻ってくれたんだ。もっとおれっちみたいに明るく開放的に行こうじゃねぇかよぉ!」

その言葉を冷静に受け止めてみたハヤテ。するとどうだ、左隣で人間のようにちょこんと座っているトラに元気付けられているという事実に面白可笑しさを感じられずにいかなかった。そうして、ハヤテの顔が綻びた。

「そうですね、僕も久しぶりのお屋敷ライフを楽しみます」

ハヤテはそう言って立ち上がり、玄関まで戻って扉を開けようとする。その直前、ハヤテはタマに呼び止められたので振り返ると、ハヤテの目の前に二足歩行のタマが迫っていた。そしてハヤテに考える隙を与えず、タマは両手を扉に勢いよく付いてハヤテの動きを封じた。

「ぇえ……?」

所謂、扉ドンだ。そしてタマが開口。

「なあお前、おれっちは悔しいが、お嬢様はお前と居ることが一番の幸せなんだぜ?財布を落としたのか何なのか知らねぇが、お嬢様とお前のために過去の失敗や後悔は捨てて、明るく楽しく前向きに行けよ!」

そう言われて驚くハヤテだったが、すぐに気持ちが切り替わり笑顔になった。

「はい、わかりました!」
「おう、頑張れよ!」

タマが扉から離れた。ハヤテが扉を開けて中へ入っていった。見た目だけは異様な光景だったが、ちょっと感動的なやり取りだった。





4K大画面モニターの部屋に、ハヤテが戻ってきた。モニターには学園モノのラブコメアニメが映し出されていて、それをソファーで仰向けになりながら観ていた。ハヤテにとっては、ルカが出てこないモノなので一安心だった。

「おかえりハヤテ、やっぱ見てて面白いよなぁバカ●スは!」
「そうですねぇ」
「おお!秀●が!ハヤテみたいだぞ!」
「あっはは……」

なるべくなら、もう一生女装はしたくないと思うハヤテだった。

「お嬢様、ハーゲンダッツのご用意はできていますが、いつ食べますか?」
「後でしょ!今はバカ●スを観るので忙しくなったからな、この話が見終わったら頂く!」

予備校の先生涙目である。
 一旦、ハーゲンダッツを冷凍庫にしまったハヤテ。部屋に戻ってみると、ナギは相変わらずの様子。ソファーで仰向けになりながらの鑑賞、アニメの戦闘シーンで熱くなった時にはナギも興奮して両足をバタバタさせて……ピンク色の下着がハヤテから丸見えである。
 見兼ねた執事は、主の元へ近づき両足を抑えて制止させた。

「お嬢様、そんなに足をバタバタさせると、可愛い下着が丸見えですよ」

その言葉にアニメを観るのを忘れたナギは、顔を真っ赤にしてハヤテに訴える。

「みっ見たのか!?」

平然とした態度で執事は返す。

「ええ見えましたよ。お屋敷の中でも正しい癖をつけておかないと、外出された時にはしたない癖が出ちゃいますよ。お嬢様くらいのお年頃の女性がさっきの様なことをされますと、それを見たお兄さんやおじさんとかがハァハァ言いながら襲いますよ?」

赤面が止まないナギ。

「じゃあ一生外に出ないからな!?」
「それは無理ですよね?」
「うっ……それと、ハヤテもお兄さんと呼べる年齢だろ!?ハヤテは私を襲わないのかよ!?」

その問いに対して執事は笑顔で答える。

「ええ、襲いませんよ。だって僕は、お嬢様をお守りする立場ですから」

ナギの赤面が少し落ち着いた。

「そ、そうか……」

ナギにとって、今のハヤテの顔が眩しい。少々恥ずかしくて、目をそむけてしまった。でも、ちょっとだけ勇気を振り絞って、小声だがしゃべってみる。

「でも、私はハヤテになら……襲われても構わないからな……」

一瞬きょとんとした執事だったが、すぐに問いた。

「えっと、それはどういう意味でしょうか?」

ナギは再び顔を真っ赤にし、大声で返事をする。

「なっ何でもない!!知るかっ!!」

ピリリリリリリリ! ピリリリリリリリ!
ハヤテのスマートフォンが鳴った。突然な物なので、やはりナギはびっくりした。
 ハヤテが内ポケットからスマートフォンを取り出し画面を見ると、相手は朝風理沙だと表示されている。夏休みはまだ十日以上あるというのに、同じクラスのトラブルメーカーからの電話だとやはり嫌な予感しかしない。だから、ここは留守メモを早めに再生させた。

「ハ、ハヤテ出ないのか?」
「ええ、嫌な予感しかしないので出ません」
「……誰からだ?」
「朝風さんです」
「ああ、嫌な予感しかしないな」

二人の気持ちが一つになった。

「あ、留守メモに何も残しませんでしたね」
「どうせ大した用事じゃないんだろ?」
「そうでしょうね。……お嬢様、ハーゲンダッツ食べます?」
「そうだな、頼む。アニメは後でもう一度最初から見直そう」
「わかりました、今準備しますね」

ハヤテがそう言って厨房へ向かおうとしたとき、マリアが部屋にやってきた。

「ハヤテ君、朝風さんから電話ですわよ」
「え……」





 廊下に来たハヤテとナギ、置かれていた受話器を耳に当てたハヤテ。

「もしもし――」
「ハヤ太君、キミはわざと留守電にしただろ!?」

平然を装うハヤテ。

「何のことでしょうか?」
「チッ……まあいい。他でもない、ハヤ太君は今日何日だと思っているんだ!?」

クラスメイトの女子に舌打ちされたハヤテ、まあそんな事はいちいち気にしていられない。相手が相手だから。

「17日ですね」
「そうだ17日だ、動画甲子園の締め切りまで今日を含めてもあと4日しかないんだぞ!」
「そうですか、頑張ってくださいね」
「コラー!!!何が“頑張ってくださいね”だぁ!?今ピンチなのは、キミが虎鉄君との騒動を発展させなかったからなんだぞ!?」

また無茶苦茶なことを言うクラスメイトだ。

「いや、あの題材じゃ優勝できませんって。もっと高校生らしいものを撮らなきゃダメですよ」

そうアドバイスしてみたハヤテ、もちろんフラグだ。

「おいハヤテ……」

ジト目のナギ。

「よぉし言ったなハヤ太君!!ではテーマを“身近な愛”とする!!」
「そうですか」
「というわけで協力しろ!!ナギを連れて生徒会室へ来い!!あ、ナギは制服着用だ!!」

理沙に言いたい事だけ言われて電話は切れた。

「受話器からちょこちょこと漏れてはいたが、なんだって?」
「お嬢様は制服着用で、僕と一緒に生徒会室まで来い、だそうです。“身近な愛”というテーマで、動画甲子園という企画に応募するものを撮影したいんだそうです」
「呆れる、なんで私たちが被写体にならなきゃいかんのだ。無視するぞハヤテ」
「そうですね、そうしましょう」

二人で厨房に向かおうとしたとき、今度は背後からマリアに声をかけられる。

「ハヤテ君とナギ、朝風さん達がお見えになりましたわよ」

二人は背筋が凍った。





 門の前に、一台の白いリムジンが止まっている。執事服のままのハヤテと、制服に着替えたナギが門までたどり着くと、リムジンのパワーウィンドウが開かれた。理沙がハヤテとナギを確認すると、すぐに乗車を促した。

「さあ二人とも早く乗りたまえ」
「仕方ないなぁ……」
「ではとっとと済ませましょう」

ハヤテの言葉は理沙にとって癇に障るものだった。

「くそぅ……ハヤ太君殺すぞ!社会的に!!」
「や、やめてください!!すみませんでした!」
「よろしい」

とりあえず、許してもらえたようだ。

 車内にはハヤテ、ナギ、理沙の他に、瀬川泉と花菱美希もいる。みんな勉強をしに行くわけでもないが、一応制服姿だ。さて、生徒会室ではどんな事が待ち受けているのか。





 白皇学院の時計塔内、生徒会室のテーブルに集まるナギ、泉、美希、理沙。美希の手にはピンク色のビデオカメラがある。カメラはスタンバイ中だ。

「やっぱりナギちゃんはいつ見ても可愛いね~」

泉が笑顔で言う。

「そうだな、でももうちょっと表情が柔らかい方が嬉しい。ナギちゃんが最高に良く映る角度はどこかな~」

美希がビデオカメラをあちこち移動させながら言う。

「ハヤ太君!冷た~いミルクティーはまだかな!?」

理沙が奥のハヤテに向かって言う。

「もう少しで出来ますよ!待っててください!」

給湯室からハヤテが言い放つ。

「ところで、なんで私とハヤテなのだ。“身近な愛”ならお前らの家族とかが居るだろ?」
「よくぞ聞いてくれた!……ナギ、ウチら三人の身近には特殊な家族しかいないからな。わかるか?」
「ウチ、パパは政治家だし」
「泉のおうちは主催だもんね♡」
「……ああ、そうだったな。だからと言って、なんで私とハヤテなんだよ!?ヒナギクだったっていいだろ?」

ヒナギクとのやり取りを思い出した理沙が、答える。

「いやまあ、ヒナは嫌がってたし……」
「私たちには拒否権がないのか!?」

ツッコむナギ、きょとんとする三人。そこへ、ハヤテがトレーに乗せたアイスミルクティーを四つ持ってきた。

「お待たせしました、アッサムの紅茶で入れたミルクティーです」
「ありがとうハヤ太君♡」
「すまないハヤ太君」
「サンキューハヤ太君……ちょっと待った!」

理沙はいつも、何かをひらめく。

「執事ハヤ太君が主ナギお嬢様にミルクティーを渡す所から撮影を始めよう!」
「えっ!」

驚くハヤテ。

「なにおう!?」

もちろんナギも同時に。

「良いシチュエーションではないか!ミルクティーをテーブルに置いたらハヤ太君も着席をして、主と執事の何気ない会話が始まるんだ!そうしたらどちらかが核心を突くような話をし始めて、そこからお互いの大切さを分かち合うようになる!それが“身近な愛”となるのだ!!」

理沙のバックでドドーンと高波が立っている気分だ。

「おおー」

泉と美希は納得のご様子。

「何気ない会話から、核心を突くような会話……」

ナギがハヤテを見やる。

「“身近な愛”……」

ハヤテもナギを見つめる。

「異論は無いようだな、ではさっさと本番に移るぞ!」

「おー!」
理沙の掛け声で、泉と美希が行動に移す。ハヤテとナギは自然と心の準備を始めていた。





 生徒会三人娘の打合せ。

「いいか、さっき見た限りではハヤ太君もナギも目がマジだった。もしかしたらこれはマジで良い画が撮れるかもしれない、だから撮影中にしゃべるのは禁止だ」
「うんわかった」
「どうする、撮影中は隠れた方がいいか?」
「そうだな、なるべく二人の気を散らさないほうが良いだろう」
「そうだね♡」
「じゃあ、私はヒナの机の下に隠れる」
「ラジャー、じゃあ泉は向こうの棚の中に隠れるんだ」
「りょーかい!」
「私はそこの観葉植物の裏から撮影をする」
「健闘を祈る」
「がんばってね!」
「おう!」

三人は各所に散った。そして、いよいよハヤテとナギの本音トークが始まる。





 椅子に座っているナギ、立ってスタンバイしているハヤテ。ハヤテは少々緊張気味の様子だが、ナギは至って普通だ。そんな中、理沙の掛け声が観葉植物の影から響く。

「レディー……アクション!!ポチッとな」

表情を変えたハヤテ、いつもの爽やかフェイスになってからナギの元へ寄る。

「お待たせしましたお嬢様、アッサムの紅茶で入れましたミルクティーです」
「ありがとうハヤテ」

ハヤテはテーブルにコースターを引き、その上にグラスを置く。ちなみにハヤテはナギの好みの甘さを知っている。だからナギはそのミルクティーに、喫茶店のようにお好みでガムシロップを入れるなんて事はしない。そして、グラスの中には既にストローも挿してある。
ナギがグラスを持って、三口飲む。理沙はナギの口元を映す。
(おお、なんて良い画だ!)

「まあ、たまには一緒に座ろうではないか」

ハヤテに着席を促すナギ。

「ありがとうございます。では、失礼します」

一礼をして、ナギと向かい合う位置に着席するハヤテ。するとナギはもう一度ミルクティーを三口飲み、それからハヤテに質問をぶつけた。

「なあハヤテ、正直に話してほしい。……あの同人誌対決のあと、ハヤテとルカの間に何があったのだ?」
「!…………」

もちろん、すぐ簡単に話すことなどできないハヤテである。
(おっと、いきなり核心か!?)
(ドキドキだよぉ……確かにあの夜ルカちゃんは来なかったし、気になるなぁ……)
(想定外だったが、いきなり良いクライマックスが撮れそうだぞ……)

生徒会室に、色々な想いが交錯する。ナギは真っ直ぐな心でハヤテを見つめ、ハヤテの第一声をじっと黙って待っている。ハヤテも何とか答えようと思い、ナギの目を見つめた。ハヤテの頭の中では、最近聞いたいろんな人の言葉が駆け巡っていたが、ふとタマの言葉が引っかかった。
“お嬢様とお前のために過去の失敗や後悔は捨てて、明るく楽しく前向きに行けよ!”
(……そうだよ、いつまでも後悔してたって仕方がない!前へ進まなきゃ!)

ハヤテは決心し、一呼吸したのちに開口した。

「……実はですね。僕、あの夜……ルカさんに振られちゃいました」
(おお!?)
(なんと!)
(そ、そうなんだ……)

「……そうか。……失恋って、辛いよな」
「ええ、意外と」
「……ルカは、同人誌対決に勝ったらハヤテと結婚する……なんて言ってたが、ハヤテはルカと結婚したかったか?」
「……今、考えてみると……正直わかりません。ルカさんとは僕と似たような境遇でしたし、ルカさんと一緒にいて楽しい思い出もたくさん生まれました。……あの夜の、花火が上がっている最中。ルカさんは別れ際に“運が悪いわね”って言いながら、僕に手紙を渡したんですよ」
「手紙?」
「ええ」
「それになんて……?」
「“私と結婚できなかったこと 一生後悔しやがれ♡ ”って……」

息を飲むナギ。そして、中核を問う。

「ハヤテは、後悔しているのか?」
「手紙を貰った時も思いましたが、少しばかりは後悔しています。ルカさんと一緒に幸せになっていたら、また少しだけ人生が変わっていたかもしれないなって……」

その言葉を聞いたナギの目には、涙が浮かんでいた。ちょっとの沈黙の後、我に返ったハヤテは苦笑いで言葉を続ける。

「あ、色々しゃべりすぎちゃいましたね!今しゃべった事、気にしないでください」
「いや!……しゃべってくれて、ありがとう」

今の“いや!”という制止をした時に、ナギは自分の涙が流れ落ちたことに気付いた。主という立場を保つため、さらには涙を隠すためにも、少々うつむいた。

「……お嬢様?」

ナギの様子を伺うハヤテ。ナギはうつむいたまま、ハヤテへ問う。

「ハヤテは……私のこと、嫌いか?」

焦りだすハヤテ。

「ええー!なんでそんな話になるんですか!?嫌いなわけないですよ!好きです!だって去年のクリスマスイヴにお嬢様と出逢ってなかったら、僕は今この世に存在してなかったかもしれないですし……!!」

ハヤテは気付いた。去年のクリスマスイヴこそ、人生が変わった瞬間なのだという事に。そして、人生を変えてくれた人こそが、今ハヤテの目の前にいる三千院ナギだという事も。

「ありがとう……私も、ハヤテと出逢わなければ今の私は無かったと思う」

ナギがうつむいたまま言い続ける。

「だけどさ、今……辛いんだよ」
「え……」
「……ルカと結婚の約束、それと伊勢から帰ってきた日の夜の、ハヤテとルカ」
「あ、あれは――」
「最初からは聞いてなかったけどさ、ハヤテがルカを抱きしめながら“幸せにします”なんて言うのだから……あれからめちゃくちゃ不安だった。ハヤテはルカのためにって言ってどこかに行っちゃうし、それに千桜たちが居なかったら……私一人だったら、ルカは本当にハヤテと結婚していただろう……」

なんて返せばいいのかわからないハヤテ。

「勝ったから、私から言えばハヤテを護ったことになるけどさ……今ハヤテに“後悔してる”なんて言われたら……!」

ナギは思わず立ち上がって、ハヤテを見やり力強く訴えかけた。

「私はこれからハヤテとどうすれば良いのだ!!?」

ナギから辛うじて見えたハヤテの表情は不安だ。目から溢れ出る涙も酷いので、またすぐにうつむき、涙をぬぐいながら泣いた。とにかくナギは、遠慮や恥などを捨ててすべてをハヤテに出し切ったのだった。
 ハヤテは決心した。静かに立ち上がり、テーブルを回り、ナギに近づいた。そして、力強くも優しい、絶妙な力加減でギュっとナギを抱きしめた。ナギは驚き、泣くのを止めた。そして、ハヤテはナギの耳元で囁いた。

「いままでお嬢様を苦しませてしまい、本当にすみませんでした。僕は少しだけ、本当に大切なものを見失っていたのだと思います。本当に大切な……人。それは、僕の人生を最初に変えてくれた人……今僕の傍にいてくれている、ナギお嬢様です」
「……ハヤテェ」

ハヤテの腕の中で、ハヤテの顔を見上げるナギ。

「お嬢様、今までお嬢様を不安にさせてきた立場なのでとても厚かましいとは思いますが、お願いです。これからはずっと、どんなことがあっても、お嬢様の傍に居てもいいですか?」

泣きながらも、だんだんと笑顔になってくるナギ。

「……うん」
「僕が、お嬢様をお守りしてもいいですか?」
「……もちろん、お願いするぞ」
「そしてこれからも、お嬢様と共に幸せを築いていってもいいですか?」
「ああ。……私が一生ハヤテを幸せにしちゃうからな♡」
「ありがとうございます、お嬢様」

愛を包みながら抱き合う二人。ナギがハヤテの胸中でこぼす滴は、いつしか嬉し涙へと変わっていたのだった。
めでたし、めでたし。




















「カットォー!!!」

観葉植物の影からビデオカメラを持った理沙が飛び出してきた。

「おわあ!!?」
「なんだ!!?」

驚くハヤテとナギ。そして泉が棚の中から、美希が机の下からとそれぞれ出てきた。

「いやー素晴らしい!とても良い画が撮れたぞぉー!」
「聞いていて感動的だったな」
「泉もものすごーくドキドキしちゃったよ♡」

我に返ってしまったハヤテとナギ。本当に二人きりだったら良かったのに、残念極まりない。

「そういえば、朝風さんたち居たんでしたね」

ジト目で言い放つハヤテ。

「さっきまでのムードがぶち壊しではないか……」

恥ずかしさと残念な気持ち半々のナギも言う。
すると美希が言い返す。

「おや?ナギちゃん“ムード”だなんて、ちょっとエッチじゃないか?」

ナギは一瞬でアレコレ想像してしまい、顔を真っ赤にしてしまう。そして怒って言う。

「うるさーい!!今の私とハヤテは純愛で出来ているのだー!!!」
「キャー♡キャー♡」
「あはは……」

賑やかな生徒会室となったのだった。



 動画研究部室の中、理沙、美希、泉が集まって編集作業を始めた。

「あのさー、良い画は撮れたんだけどさー」
「うん」
「うん」
「ルカって何度も言われるのはキツイよなー」
「さすがにアイドルの実名を出すのはなー」
「そうだよねー」
「ピー音を入れるか?」
「うーん、それじゃあ感動ぶち壊しだよなぁ」
「じゃあどこかをカットする?」
「いやそれも厳しい」
「ハヤ太君の部分をカットして、ナギちゃんのイメージビデオ風にするとか?」
「ああい~ね~♡」
「すまん、そんな風に出来るように撮ってはいない」
「じゃあ……ピー音?」
「仕方ないよね~……」

こうして、三人は慣れない手つきで編集を進めた。



 後日の動画甲子園審査会では、理沙たちの作品は入賞すらされなかったのだった。



 そして、歩の「田舎には何もないがある!」の日へ続く。

おしまい























解説・あとがきみたいな物

 ここまで、へたっぴな小説をお読みいただき誠にありがとうございます。たまに旅行系同人誌の原稿を書いて、仲間の原稿も合わせて一冊の本にしてコミケで売るってことはやっていますが、完璧な二次創作は約10年振り?しかもリア友以外に見られる二次創作はこれが初めてです。
 それと、言い訳させてください。はい、筆者は殆ど読書してこなかった人生を送っています。こんな野郎が人にお見せする小説を書いちゃダメですよねー?ホント、へたっぴですみません。
 では、こんなんですが、作中に関して一部だけ解説させてください。

ハヤテの夢
 怖い夢とかってさ、可笑しな現象とかがたくさん見られるでしょう。そこんとこ、意識して作ってみました。もしかしたら性格や血液型によっては違うのかもしれませんが。(ハヤテ君はA型、筆者はO型)

例え難い快感
 男性の生理現象です……。多忙な執事生活が続いているようなので、たぶん良質なのが溜まっているだろうと思い、ハヤテ君を汚してごめんなさい。

「クラウスさんは?」
 クラウスが存在していることを表したかった(笑)。「ムラサキノヤカタを行き来している」というのは、筆者のCutiesの解釈。

東方
 Help me, ERINNNNNN!! (たすけて えーりん) / ビートまりお
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm26998

8月13日・17日・「あと4日」など
 13日はコミックサンデー84の2日目。ちゃんと原作に忠実に書かせていただきました。「あと4日」としたのは、その一週間後には西沢さんの田舎にいるので、さすがにその日までに生徒会三人娘が動画を仕上げてないのはどうなのかと思い、さらにはハヤテ君がいかがわしい夢を見るのはこのくらいの時期かな~と筆者が勝手に妄想したのもあり、この小説内の時間を2005年8月17日(水)としました。

山崎駅を通過する、特急はるか
 東海道本線(愛称:JR京都線)の、京都府乙訓郡大山崎町にある普通電車しか停まらない駅。そこは、主に京都駅-関西空港駅を結ぶ特急電車「はるか」が通過する。もちろん、ルカ役の人の名前と掛けたくてギャグに採用(笑)。

ハーゲンダッツを買ってこい
 最初は「週刊少年サンデー発売中!」としようとしたCMですが、2005年8月17日は合併号のためお休みだったのです。なのでやむなくハーゲンダッツに。それでも、上手い具合に筆者の妄想は進みました。

タマの出演
 『ハヤテのごとく!』という作品のギャグ要員として、タマは出させたかった!筆者は満足している。

バカ●ス・秀●
 『バカとテストと召喚獣』(愛称は「バカテス」)のことと、その登場人物「木下秀吉」のこと。秀吉は男だが可愛らしい容貌と小柄で華奢な体格から「稀代の美少女」と称され、最近では男女を超えた「第三の性別・秀吉」として扱われている(Wikipediaより転載)。もちろん、女の格好をさせられることもある。

 あとは、原作のイメージ・キャラクターのイメージを大切にして、それっぽく書いたつもりです。今回扱ったテーマがハヤテ君とルカ決着後のお話なので、どうしても次のサンデーが発売される前にこの小説を完成させたかった気持ちがありました。なので、一人称や二人称が違うなどの部分がもしかしたらあるかもしれません。その際は、申し訳ありません。
 それと、「ナギに親離れされてショックなマリアさん」を表現できなかった事は悔やまれます。ごめんなさい。さらに、「朝起きてから学校行くまで」というお題を頂いて書き始めたこの小説ですが、朝起きる前から学校へ行った後の事まで書いてしまった、言わば「条件不良(超過)」な小説です。長過ぎですね。これをお読みになっているあなたの時間を取り過ぎました、本当にすみませんでした。


 解説やあとがきはこんなもんかな?
 ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

2013年12月3日
ナギちゃん、お誕生日おめでとう!なKTA
[ 2013/12/04 17:01 ] SS | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

Nobu

Author:Nobu
血液型:B型

ハヤテ君がとっても大好き。ハーたんよりはハヤテ君。アニメ・漫画が大好き。水樹奈々さんと茅原実里さんの大ファン。好きな声優は白石涼子さんと植田佳奈さん。好きなゲームは任天堂全般,falcomの軌跡シリーズ,ドラクエ,ソニック,風来のシレンなど。最近は艦これの五月雨ちゃんが可愛くて仕方のない提督。

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